書きたくなる遺言書ー離婚・再婚した場合―

今の時代、離婚・再婚は珍しくはありません。

だけど、子供のいない夫婦に次いで、

面倒なのがこの再婚家庭の相続問題です。

現妻と先妻の子という微妙な関係から、

泥沼の相続争いに発展することは多いのです。

では、

再婚家庭での相続をシュミレーションしてみますね。


再婚家庭の相続で何が起こるか

例えば、

一人息子を残して夫が死にました。

(いつも夫が死ぬのはわかりやすいからで、他意はありません)

遺産は、夫名義の家と土地と、わずかばかりの預貯金です。

法定相続分は妻と子で2分の1ずつですが、

子供がまだ未成年なので、

妻は家と土地の名義を妻名に変えるつもりです。

後々、子供が相続するので問題はないはず。

ところが夫はバツイチ。

再婚だったと妻は思い出します。

そう言えば、

先妻との間に一人息子がいると聞いたことがあるような……。

案の定、家と土地の名義を変えるのに、

先妻の子との遺産分割協議を作り、

印を押してもらわなければいけないと言うじゃないですか!

妻は先妻を知りませんしその子供に会ったこともありません。

どこにいるかもわかりません。

夫の通帳は、死後直ちに凍結され、

解約するのにも、先妻の子の署名捺印が必要です。

さらにその子に、法定相続分を支払わなければならないのです。


先妻の子の相続権

たとえ会ったことがなくても、

どこにいるかわからなくても、

先妻の子には相続権があります。

交流がないためにすっかり忘れて、

相続が発生して初めて大慌て!

この場合の法定相続分は、

現妻に2分の1、現妻の子と先妻の子に4分の1ずつ。

計算をしてみると、

先妻の子の法定相続分は数百万になることがわかりました。

先妻の子が相続放棄をしてくれるといいのですが、

数百万を目の前にしてあっさり放棄するでしょうか?

どのような経緯で離婚したか知らないけれど、

いい関係ではなかったから別れた訳で、遺恨もあるかも。

この際とばかりに、

恨みを晴らそうとしてくる恐れだってあります。

それでも現妻は、

先妻の子と接触しなければにっちもさっちもいきません。

会いたくもない先妻を探し、

縁もゆかりもない先妻の子に

「お願いします」と頭を下げなければいけません。

現妻はこれから先の関わりを避けるためにも、

家と土地を売って財産を清算する覚悟をするしかりませんでした。


先妻の子に連絡しなかった場合

再婚後に築きあげた夫婦の財産を、

見知らぬ相手に持って行かれるのは納得できない!

そう思うのは当然です。

でも放置すると、話はさらに面倒なことに。

例えば、先妻の子がすでに家庭を持って子供がいた場合。

放置している間に先妻の子が亡くなってしまうと、

さらにその子供に相続権が発生してしまうという、

わけわかめな状況になります。

現妻は、自分の子を守るためにも、

決着をつけなければいけないのです。


連れ子の相続

夫との間に子がなく、現妻の連れ子がいるというパターンもあります。

この場合の相続権は連れ子にはありません。

ですが、養子縁組をすれば養子としての相続権が発生します。

相続財産が減るからと、

子供たちに再婚を反対されるなんてことも、

わりとよくある泥沼パターンですね。


先妻との間に子供がいる時は遺言書を!

現妻と先妻との子が争わないですむように、

夫は遺言書を遺してあげて欲しかった。

ただし、遺言書があれば問題は少なくなりますが、

先妻の子には「遺留分」を請求する権利があります。

そのことを、あらかじめ考えて、

遺留分の現金を残しておくとさらに助かります。

遺言書は、故人の財産だけでなく想いを伝えることもできます。

家族が納得する相続を、元気な時にしっかり考えるのが、

「終活」なのです。


自分の財産は、

今一緒に住んでいる家族が相続するものだと思いがちですが、

離婚・再婚で家族関係が複雑になると、

相続も複雑になると覚悟しておきましょう。

誰が相続人になるかを洗い出し、

家族にそれを話しておくことも大切です。

そして、

家族のためにも是非遺言書を!

遺族が見知らぬ相手と相続争いをしなければいけないなんて、

辛すぎますから。

終活と宇部と時々ねこ

もし明日、 あなたが死んだら…… 家族は? 相続は? お墓は? ペットは? そんな不安を解消するための 「終活」を始めませんか?

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